アスペルガー症候群とは

自閉症は、対人関係の障害、コミュニケーションの障害、想像性の欠如の3つを中核症状とする発達障害です。自閉症の約70%が知的障害を合併していると言われていますが、約30%には知的障害が見られません。このうち、幼児期に言葉の遅れがあったものの、その後言葉は上達している、しかし自閉症の特徴を有している状態が高機能自閉症とされています。一方で、アスペルガー症候群は著明な言葉の遅れはないとされています。つまり言葉以外では自閉症の特徴を持っている人を言います。これが高機能自閉症とアスペルガー症候群との違いと一般的には言われていますが、本質的に両者に差があるかどうかは議論になっています。
 

アスペルガー症候群の特徴

アスペルガー症候群では、ことばに著明な遅れはないとはいいますが、ことばの問題をもっていないわけではありません。ほとんどことばは問題ないと評価されてしまう方でも、よく指摘されるのが、比喩表現、慣用句、ことわざが理解しにくい、これらの使い方が不適切である、立場が変わったときの言葉の使い方がおかしい、場合に不似合いな丁寧な言葉遣い、TPOに合わない言葉遣いなどです。ことばを文字通りに捕らえてしまい、友達とトラブルになることがあります。「顔かして」「耳にたこができた」「足が棒になる」などという言葉で、他人が言っていることを文字通り理解しようとして間違って理解してしまうのです。
 

アスペルガー症候群の方への関わり

アスペルガー症候群の方は、以下のようなことを通して、人は何を考えているのかということを学ぶことができます。そして、相手の気持ちを察するだけでなく、苦手とされる自分の気持ちを開示する練習をすることもできます。
 

(1)語学教育、コミュニケーションの向上を目指して

書店には漫画つきのことわざや慣用句の本が売られています。この本は多くの子どもにとって面白く、頭に入るようです。ことわざや慣用句を学習し、使えるようになると、かなり日常生活でのトラブルの減ることが期待できるのではないかと思われます。同じ言葉でもニュアンスの違いによって意味が異なることを理解することは非常に困難です。そのため、アスペルガー症候群の方と話す時には、分かりやすく、明確な内容を伝えるようにします。
 

(2)ソーシャルスキル・コミュニケーションスキル向上

日常生活の中での教育として、たとえば、漫画のふきだしのセリフを考えさせる、絵日記や四コマ漫画で日々あったことをまとめる練習をすることなどが有効だと思われます。なかなか自分の気持ちを書かず、書いても紋切り型なことが多いですが、日記の中などで少しずつ自分の気持ちを表現できるように練習することが必要だと思われます。
 

(3)本当のところをわかるようになるための対応

本当のところがわかっていないアスペルガー症候群のお子さんであっても、いずれ理解するはず、と信じましょう。これらのお子さんは、多くの児童とは違ったルートではありますが、人の考えが読めるようになっていきます。人の物を取ったり、たたいたりしたときには優しく諭しましょう。しかしまたすぐに同じことを繰りかえすことも多いでしょう。それでも再度諭しましょう。体罰はなしでです。恐怖では支配できないからです。アスペルガー症候群のお子さんは視覚的認知力が強いので、諭したり、説明する時には紙に文字や絵を利用しての方が良いでしょう。
 

(4)自己評価を下げないような配慮としての,本人への診断名や不得意なところの説明

アスペルガー症候群のお子さんは9~10際で人の心が読めるようになってくるといわれています(もちろん個人差はあります)。これはもちろん進歩なわけですが、一方でそれは自分が周囲から受け入れられていない、よく評価されていないということを理解するようにもなるということです。一層自己評価を下げやすい時期ということになります。そのため、本人へ障害について説明することで本人が自分を知ることは是非とも必要です。これによって不必要に悩む時期を減らし、自己評価を下げることを予防することが大切です。
 

参考文献
東條惠 2004 発達障害ガイドブック 考古堂