強迫性障害とは

強迫性障害は、ある一つのテーマの考えや、イメージ、衝動が一定のパターンで繰り返し起こる強迫観念と、そうした考えや衝動が生じるために手洗いや確認などの儀式的な行為が繰り返される強迫行為・儀式的行為の2つを特徴とします。強迫行為は強迫観念を緩和させようとしたり、取り消そうとしたりするために行われます。そしてこの強迫症状のために、1時間以上も時間を浪費したり、症状が起こる状況を回避しようと、家に閉じこもったり物に触れなくなったりしたりし、生活が困難になります。

強迫症状の具体的な内容

強迫症状の内容は、汚いものを触れない不潔恐怖、汚いものを触ってしまい恐怖感を覚えるために手洗いを繰り返す手洗い強迫、鍵閉めやガスの元栓の確認を何度もしてしまう確認強迫、書類やレポートを書く際、ちょっとしたところが不完全に思え何度も書き直す不完全恐怖などがあります。一方で、何もしなければ洗ったり確かめたりする必要が無いので、部屋に閉じこもりきりになったり、入浴・着替えなどもせずに寝たきりになって不潔な生活を送ってしまうこともあります。
また、付随することとして、本人にも良くわからない症状のために他人を怒らせてしまうことを繰り返し、そのため対人関係に難しさを感じたり、時間を浪費することに対する無力感や恥のような感覚を持つこともあります。

強迫性障害の割合と経過

一般人口の2~3%に見られ、発症年齢の平均は20歳といわれています。男女比はほぼ同等です。強迫性障害は何かの出来事のあと急速に現れることが多いといわれており、初期には症状を隠すことができるので、受診するまでには何年もかかる場合が多いのです。過半数は、生涯のうちに一度はうつ病を合併する恐れがあります。症状が表れた原因がはっきりしている場合、強迫症状がありながらも何とか社会生活を送ることができる場合などは、比較的症状が軽快しやすいといわれています。

強迫性障害の治療

迫性障害の治療において重要なことは、まず、この病気について正しく理解することです。強迫性障害による強迫観念や強迫行為は性格や性質だからしかたがない、というものではありません。適切な治療を早期に開始すればよくなることが多いと言われています。
強迫性障害の治療は、薬の処方も重要ですが、認知行動療法などで行われる暴露反応妨害法が有効です。暴露反応妨害法では、強迫観念、儀式的行為、不快感を引き起こす状況や人物に直面させます。そしてその中で、強迫的な行為をしないように努力することで、不快感や不安は次第に薄れていきます。そうすることによって、不快感をなくすために儀式的行為は必要ではないということを、本人自身が認識するようになります。この方法はいったん習得すれば、治療の終了後もそれほど努力せずに日常的に自分で継続して実施していくことができるため、改善効果は長期にわたって持続します。

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