侵入思考とは

望んでもいないのに,急に違和感を感じることが頭に浮かんでくることはありませんか?例えば,車の運転途中に人の群れに突っ込んでいくことが浮かぶ,会議の場で突拍子のないことや下品なことを口にすることを想像する,などです。こういった,侵入的に体験される思考・衝動・イメージのことを「侵入思考」と呼びます。
 

意外に一般的な侵入思考

このような一般的に望ましくないとされる考え方を持ったことを周囲の人と話し合うことは少ないでしょう。ですから,もしかするとみなさん「このような考え方を持つのは自分だけだ」と思っているかもしれません。しかしRachmanら(1978)は,健常者の84%がこういった思考を体験していることを明らかにしています。
これらの報告からもわかるように,侵入思考は一見その内容から社会的に望ましくないものとされがちですが,意外に多くの人が経験しているものなのです。ただ,残念ながらどうしてそのような思考が頭に浮かぶのか,については明らかになっていません。
 

侵入思考への態度

ここまでで,侵入思考とは意外に多くの人が経験するありふれたものであることがわかりました。しかし,この侵入思考に対して各人がとる態度は様々です。こういった思考が浮かんでも特に気にせず流す人がいる一方で,思考の内容を信じそれが現実にならないように確認や洗浄や儀式を繰り返す人(強迫),またそのような思考を持ったことを罪だと考え自分はひどい人間だと自分を責める人もいます。同じ思考なのに,人によって与える苦痛の程度が違うのは不思議なことです。
 

侵入思考への対処

肉なことに,この侵入思考は考えないようにすればするほど,逆に考える頻度が増加してしまうことが明らかになっています(Wegner, 1987)。そこでカウンセリングでは,この侵入思考を持つということが悪いことではなく自然なことなのだ,ということを理解してもらいます。また必要があれば,あえて侵入思考について繰り返し考えてもらうという方法を用いることもあります。
 
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参考文献
原田誠一 2006 強迫性障害治療ガイドブック 金剛出版
Rachman, S. J. & de Silva, P. 1978 Abnormal and normal obsession. Behaviour Research andTherapy, 16(4), 233-248. Clark, D. A. 2004 Cognitive-Behavioral Therapy for OCD. The Guilford Press.
Wegner DM, Schneider DJ, Carter SR 3rd, White TL. 1987 Paradoxical Effects of Thought Suppression. Journal of personality and social psychology. 53(1),5-13.